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 底なしの穴に落ちるのは、どんな気持ちなんだろう。
 

















想像の現実















 眼が疲れた。
先ほどから本ばかり読んでいる。
これでもう、何冊目だろうか。
ぺらり、ぺらり。
するすると踊る文字を見る。
言葉の羅列と辿り、其処に隠された意味を暴く。
それは楽しく、同時に苛立ちを覚える行為だ。

(だって、正解なんてない)

書き手の意図があろうと、なかろうと。
「作品」を世に出してしまえば、全ては読み手に委ねられる。
秘められた意味、言葉。
どれだけのものが、正しく伝わるというのだろう。

…私が悩むべき事象ではないか。

 ため息を吐いてページを捲る。
並んだ言葉、散らばる言語。
韻を踏み、文字で遊ぶ。
誰かの言葉を、自分の内へと取り入れる。
ぐるぐる、ぐるぐる。
連なりの渦へ。
するする、するする。
書籍の中へ。
単語の並に埋もれ、物語の穴へ落ちていく。
一種の倒錯、ある種の錯覚。
自己陶酔同然の、高揚感。
紙の擦れる音。
動く眼球。
ひゅるひゅる、ひゅるひゅる。
落ち続ける意識。
ふ、と思うことは。

(ああ、あの少女も、こんな気分だったのかしら)

でも、同じ穴に落ちるでも。
彼女の先は、不思議の国で。
私の先は、

「現実、か」

ぱたんと音を立て本を閉じる。
なかなか楽しいものだった。
元の場所へと戻しつつ、ぼんやりとした空想に浸る。

(このままずぅっと読み続けたら、何時か何処かへ行けるのかしら)

ふるり、と小さく首を振り、ゆっくり扉へ足を向ける。
仮に、不思議の国に行けたとしても。


「それが現実であるならば、やっぱり現実に違いない」


つまりは、そういう事なのだ。