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残像・偶像・目眩の中で。












 日差しが強い。
小高い丘の上に立つ。
見下ろす街は、ゆらゆらと。
熱気で緩く、揺れ動く。

「いやなものだな、」

こめかみから顎へと伝う汗。
ぐい、と拭って僕は言う。

「雨でも降れば、涼しいと?」
「そうじゃないさ」

顔を歪めて否定する。
左右に振られる首に、伝う雫は見あたらなくて。
どうしてだろう、僕と彼との違いが分かる。

「何奴も此奴も暑い、あつい。下ばっかり見て、上の方など見やしない」

「下を見るのはいつもの事だよ。…それよりさ、それの何処が、嫌なんだ」

背後の大樹ががさり、がさり。
枝葉から零れる光ですら、こんなにも。

「あるさ。あるね。大いにだ。どうして上を見やしない。…どうして、俺を見ようとしない?」

俺は、こんなにも根強くあるのに!!

 やたら大げさに両手を広げ、胸を張って自己主張。
流れる汗は、顎から首へ。そろそろ拭かないと気持ち悪い。

「自分を誇示、しすぎじゃないか。あまりにも主張をするものだから、皆呆れ返ってしまうよ」

ふん、と小さく鼻をならし、いよいよ傲慢に彼は言う。

「呆れ返る程偉いのか?俺より小さいお前らは」

「さあ。…どちらにしろ、僕は帰るよ。…好い加減、暑いし、」

言いながら目を伏せる。
瞬間、寂しそうな顔が見えたけど。
肌はベタつき、服は湿って。
…どうしようもなく、辛いのだ。



(そんな顔するなよ、また、来る、からさ)



 瞳を閉じて、一、二、三。
ゆっくり開ければ、見慣れた日常。
…どうして僕は、此処にいる?

「熱気にやられたかな、」

首を傾げて汗を拭う。
額は既に洪水だ。
さっさと風呂に入りたい。


 丘を下って振り返る。
小高い丘の、その向こう。
あの、青と白の狭間から。





誰かに名前を呼ばれたような、妙な気分になったのだ。












それもきっと暑さのせい。